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Pのミューザック

Self Liner Notes

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01.Love Song

この曲の着想を得たのは前作『The Peanut Vendors』の録音時で、まずギターのリフを考え付きました。その頃はカントリーのモードだったのでカントリーっぽくしようかと思っていましたが、ポール・マッカートニーお得意のギターフレーズをループさせてそれと同じメロディーを歌う(「Hey Diddle」など)方式に使えるな、と思い今回録音。普段なら絶対につけないタイトルだけど、この歌詞ならよいかな、と。エレキギターでサボテン楽団が参加しており、あとはすべて自分で演奏しました。ドラムはポールの「That Would Be Something」っぽく。

​02.my dear 霊dy

ポール・マッカートニーで一番好きな曲とっても過言ではない「You Gave Me The Answer」を目指しまて作り始めましたが、基本宅録かつ自分演奏でオーケストラもないとあの雰囲気を出すのは難しく、よりバンドらしいアレンジに軌道修正した結果エミット・ローズに接近していった曲。最初は普通の恋愛ものの歌詞だったけど、つまらなく思い幽霊との恋に変更、ladyも霊dyにしちゃおう、という感じでこのタイトル。結果的に出来上がりが気に入っています。ゲストの芦田君のホーン、サボテン楽団のバンジョーが秀逸で、この2人無くては出来上がらなかったであろう曲。

03.火を放つ

「あのこのゆくえ」(プチストーカー)、「夜の飴玉」(露出狂)に続く犯罪者シリーズ(ひどいシリーズだ)第3弾は放火魔。しかも好きな娘の気を引くために狂言放火を企てるという末期の。

曲自体は、「With A Little Help From My Friends」というか、そういう緩めのポップスを1曲ほしく作った曲。この曲はアレンジの隙間が多かったので、たまたまリハが入っていたSpoonful of Lovin'の面々と増村君に参加してもらおう、と考え各楽器丸投げしました。結果とても良い感じに落ち着いたので良かった。ミックスの際、岡田君がすぐに「このスライド渡瀬さんですか?」と気づいたので両者さすがだな、と思ったのは後日談。

04.ライカ

「Blackbird」や「Put It There」「Jenny Wren」など、ポールお得意のギターをつま弾く奏法で1曲作りたいな、と考えた曲ですが、アレンジに煮詰まりいろいろ悩みつつ作りました。最終的に増村君にパーカッションを入れてもらいなんとか着地出来た気が。歌詞は当然ライカ犬のことを書いていたのですが、こちらも煮詰まり、だんだんお葬式の曲のようにも思えてきて、その頃亡くなった祖父のことを思いながら完成させました。

05.shepherd's pie

アルバムで一番最初に録った、ポール・マッカートニーで言うと「honey pie」や「Country Dreamer」のようなフレッド・アステア・フェイクと呼ばれる(カントリー・)ポップスを目指した曲です。まずこの曲があったからこのアルバムを作れたと思う、今作で自分にとっては重要な曲。歌詞は自分の周りにもいる少し哀愁漂うおじさん(平澤さんとか)をイメージしながら書きました。

06.mutt on

ポールの「Ram On」を下敷きにした、箸休め的なインストです。ちょっとコード展開はビーチ・ボーイズっぽさもあるような。Ramは子羊でmuttonは大人の羊、そしてこちらにはもともとonが入っていると気づき分離、調べるとmuttという単語には犬(特に雑種犬)という意味もあり、なんだかうまいこといったな、というタイトルです。

07.魔法にかかった日

ポールはレゲエっぽいアレンジの曲をたまに作りますが(「C Moon」とか)、それを出発点として作ってみたけどコードのせいか全くレゲエっぽくはならなかった曲です。転調が自然にできた気がすること、ドラムが良く録れていることから曲自体は気に入っているのですが、歌詞は昔のフォークみたいになってしまいあんまり納得いっていない。そしてこれも増村君のパーカッションが良い味なのです。岡田君曰くポールmeetsティン・パン・アレイとのこと。

08.ただ、甘やかな日々

​とにかくピアノで曲を作らねば、というなかでできた曲で、「shepherd's pie」と並んでこのアルバムで自分にとっては重要だった局。特にAメロはピアノだから思いついたコード進行とメロディーだったと思います。Aメロが気に入っている分、ほかの展開は割とシンプルめに作りました。間奏では芦田君のホーンがなくてはならなかったので感謝。BH ​君がナイスなPVを作ってくれました。

09.ありふれた話

言うまでもなく下敷きはビートルズの「I Will」なんですが、そこから離れず近すぎず、なコード感になったのではないかと思っています。特にBメロの後半のコードとメロディがお気に入り。増村君に「I Will」がやりたいんだ、と伝え、そにかくそのイメージでパーカッションを重ねてもらいました。こういう作業はとても楽しい。

10.天気娘/帰る路/生活

まずは天気娘が単体であったのですが、この曲を丸々3分できるかな?と思い、そこからポールならメドレーだろ、ということでつながる曲を作っていきました。「天気娘」はPaul McCartney & Wingsの「Hands Of Love」や「Mr.Vandebilt」を下敷きにした曲で、帰る路はビートルズ後期っぽいイメージ、生活は今作唯一のカントリーです。

11.mutt on(Reprise)

いや、Repriseってやってみたかったんですよ。

12.あたたかなうた

これもピアノだからできた曲。最初はバカラック・ポップスっぽいリズムで作っていたんですが、途中でこの「Let 'Em In」「Power Cut」っぽいリズムを思いつき、それっぽいアレンジが出来上がっていきました。転調の仕方がお気に入りです。間奏の芦田君のトランペットがとても良い録音だと思います。

​最後のコーラスは、SOLの録音の時についてに歌ってもらい、あとは家にいた妻に歌ってもらっています。ミックスの時に岡田君が「たにぴょんの声がでかい」と笑っていた。

終わりをこの穏やかで静かなダンス・ミュージックで飾れてよかったなあと思います。

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