top of page

The Peanut Vendors

Self Liner Notes

01.遠吠え

アルバムの1曲目を飾るのは、ライブで最初にやる曲が無い、ということになり作った曲。曲の原型自体は結構前からありましたが、ライブでやるようになったのはここ数年。イメージとしてはやはり、「ろっか・ばい・まい・べいびぃ」や「三時の子守唄」とか、ああいう細野晴臣さんの楽曲ですが、コード進行には少しWingsの「Baby's Request」っぽさもあるなと。しかし僕は犬に関する歌が多く、犬が登場する曲はこれで前作から4曲目(他3曲は「dog」「my dog is barking」「白い家」)。間奏、バンドが入ってくる瞬間といい具合に枯れて録音できた芦田君のトランペットソロがお気に入り。

02.春を謳えば

アルバムで一番、特に元ネタもなく、ある意味で普通のポップ・ソングにしたかったという曲。もともとはカントリー調にしようと考えていたのですが、カントリーっぽくないドラムフレーズをループさせて、それにピアノを合わせて展開させていくコンセプトで作成しました。良い具合にアルバムから浮いていて、肩ひじ張らず楽しんでもらえる楽曲じゃないかと思います。そして、自分の声だけではどうしても不足する彩りやポップさを、想像していた以上に補ってくれた中川理沙さん(ザ・なつやすみバンド)のコーラスが素晴らしい。MVが作られ、すみちゃんというとてつもなくかわいい文鳥と触れ合うおじさん(僕)という、本当に大丈夫なのか??と不安に思いましたが、とてもよい感じに仕上げてくれた監督代田君には感謝しかありません(自分で見るのは今でも恥ずかしいのですが)。

03.羊を盗め

(一応)カントリーと名乗っているのに、速い曲がない、ということで作成した楽曲。2016年カクバリズムから7インチをリリースしました。この曲のみ、録音・ミックスは葛西敏彦さんです。前作を出した頃には楽曲自体はもう存在し、ライブをやっていく過程で、どんどん速くなっていきました。この頃は、ちょっとコードの転調に凝っていて、その名残がBメロに。この曲は特に作った時に下敷きにした楽曲はないのですが、あえて言うならばThe Monkees の「What Am I Doing Hangin' 'Round」のイメージでしょうか。この曲はとにかくサボテン楽団のギターが格好良く、バンビ君のベースがとても楽しそう。タイトルや歌詞の内容を問われることがありますが、睡眠と性欲(寝てしまった相手を起こしてコトに及ぼうとする男)のことを歌った歌で、牧歌的な内容では全然ないです。

04.旅行鞄

一時期Rab Noakesの『Red Pump Special』というアルバムを延々と聞いていた時期があり、それに引っ張られるように出来上がった楽曲。ウエスタン・スウィング調でもあります。最初は普通のイントロ→A→B→サビを繰り返すという展開でしたが、なんだかつまらなく感じたため、最後に大サビを繰り返すという形に変えました。日常に潜む旅行欲というか、そういうものを歌っています。芦田君のペダル・スチール奏者としての成長が見え、また、佐藤君のキーボードが効果的に使われている曲ですね。

05.Flying Donut

今回のアルバム用に作ったインスト。特にテーマがあったわけではないんですが、口笛のフレーズを膨らましていきました。メロディーとか演奏の雰囲気は少し、ニーノ・ロータとかああいうサウンドトラックのイメージ。前作に入っていてもよさそうなモンド感ある曲ですが、バンドで録音しているのが最大の違い。アルバムに関しては息抜きというか、そういう立ち位置の曲だと思います。僕はUFOが好きなんですが、UFOのことをFlying Saucer(空飛ぶお皿)と言うけど、それなら形的に空飛ぶドーナツでもいいのでは?いうタイトル。特に意味はありません。

06.Walking Walking

UFOに続く、僕の好きなものシリーズ、続きましてはゾンビです。初期のスタンダードな、走らないゾンビ映画が好きで(R.I.P、ジョージ・A・ロメロにトビー・フーパー、、)、そんな内容を明るく陽気なメロディーに乗せてみました。歌詞のオチには敬愛する藤子.F.不二雄先生の「流血鬼」という短編の影響も少し。楽曲は、アメリカ南部、ザ・バンドの「Ophelia」(これはあとでサボテン楽団に指摘され確かに!となった)というか、Randy Newmanというか、そういうイメージで作成。そこで、ニューオーリンズっぽいピアノを弾いて欲しいとゲストの谷口雄君に依頼。期待に見事に応え素晴らしいピアノを弾いてくれ、これが楽曲の魅力を大幅に底上げしてくれました。感謝。勝手なイメージとして、アナログであればA面最後の曲を想定しています。

07.そらまめのうた

アナログであればB面の幕開け。長野県のスエトシ牧場にいる、そらまめというミニチュアホースの女の子について歌った楽曲。漫画家の本秀康さんの縁で、牧場の許可も得て作成させてもらいました。女の子目線(馬ですが)の曲は初めてですね。本先生からポール・マッカートニーの『Ram』に入っている楽曲や、「メアリーの子羊」とかのイメージで!というリクエストもあり、「Heart Of The Country」を下敷きに作成していた楽曲に手を加えました。元はA→B→ブリッジ→B→ブリッジ→A、という展開を考えていましたが、あまりに地味になるためサビを追加したところ、結果的に気持ちのいいカントリー・ポップスが出来上がったと思います。雷音レコードから出る7インチではボーカルをダブルにして、よりポール感を強めていますが、アルバムでは他の楽曲のバランスを考え、ボーカルをシングルにし、シンプルなアレンジとしています。動物の歌作っている時が一番楽しいなー。

08.夜の飴玉

サボテン楽団という、素晴らしいカントリー・ギタリストが録音メンバーにいるので、もっと存分に弾いてもらえる曲が欲しいと思い、録音の直前に作った楽曲です。イメージとしては、サボテン楽団が尊敬するジェリー・リード。やはり速い曲だとリズム隊が生きるし、またこちらの意図を見事にくみ取ってくれたサボテン楽団のカントリー・リックが見事です。サビでサボテン楽団が弾いたギターはCanonball Ragのオマージュのような奏法ですが、これを歌もののバックで弾く人はなかなかいないのではないかと思います笑。歌詞は、熱帯夜に暗躍する露出狂の歌。なぜか速い曲は少し性的な歌になることが多い、不思議。

09.健忘症

ブレイク・エドワーズ監督の映画、『ティファニーで朝食を』の中でオードリー・ヘップバーンがギターをつまびき窓辺で歌う「Moonriver」や、『グレート・レース』の中でナタリー・ウッドが湖畔で歌う「The Sweetheart Tree」など、ヘンリー・マンシーニの作る劇中歌のような雰囲気の曲を目指しました。バンドアレンジにすることも最初考えましたが、アルバムの中で一息入れることも考え、弾き語り中心のアレンジに。ただ、間奏もあるのでゲストの谷口君に再登場してもらい、アコーディオンを演奏してもらいました。ロマンチックな雰囲気の中で踊っているのに、相手の女の子の名前を思い出せない男の歌です。変な歌ですね。

10.まちあわせ

アルバムの楽曲がだいたい揃った時に、前作で言う「休日」のような素直なポップさを持った曲が少ないように思え、急きょ作った曲。リハの段階でドラムの唐沢君の叩いたリズムパターンがおもしろかったので採用し、最後だけストレートに叩いてもらう、というアレンジに。その瞬間のパッと開ける感じが個人的に気に行っています。楽曲の素直さに引っ張られてか、歌詞の内容も珍しくひねりのないラブソング。最初は「春を謳えば」のみで参加してもらう予定だった中川さんに、勿体ないからと急遽こちらでも歌ってもらい、曲の雰囲気にばっちりあったコーラスを入れてもらっています。

11.(Theme Of)The Peanut Vendors

カントリー・ギタリストのレジェンド、チェット・アトキンスの奏法(4~6弦(ベース音)をミュートして親指で弾きつつ、1~3弦(フレーズ、メロディ)を弾く)でインスト曲を作ってみたく作成した楽曲。曲ができた当初はサボテン楽団がラップスチールやドブロ・ギターでメインフレーズを弾いていましたが、録音ではチェット・アトキンス奏法で弾いてくれと頼みました。今回の録音メンバーのテーマとも言える楽曲で、間奏の上物3人(ギター、キーボード、ペダルスチール)のソロ回しが最大の見せ場です。

12.Happy Old Ending

実はアルバムの中で結構古い楽曲で、できたのは4年前、前回のアルバムが出た前後くらいかな?歌のメロディーが綺麗に楽曲に乗った感じがして、自分でもお気に入りのポップスです。アルバムの終わりは幸せな雰囲気の曲で終わりたかったのでこの曲を最後に持ってきました。楽曲の下敷きは映画『五つの銅貨』の劇中、バスの中で子供を寝かしつけるためダニー・ケイが歌う(このシーンが本当に素晴らしいんです)、「ララバイの子守唄」。ブリッジではちょっと大滝詠一さんっぽいフレーズも。この曲があったから、アルバムを無事終えることができた気がします。

~おまけ~

SORAMAME RAG​

7インチシングル「そらまめのうた」のB面として作曲したインストです。

当初、とくにそらまめと関係のない楽曲をB面にしようかと考えていたのですが、雷音レコード主催の本先生から「そらまめに関係する曲にしてほしい」というリクエストがあり再考することに。

「そらまめのうた」の弾き語りバージョンを収録する案もあったのですが、それではつまらないなと考えていた時に思いついたのが「そらまめのうた」のインストバージョンを作るアイデアでした。

この曲のコンセプトもポールが作りそうなインストです。メンバー多忙なため、その場でいるメンバーで作れるように、アコギ、ベース、キーボードは「そらまめのうた」のテイクを流用し短くしたものに、バンジョー、リズムを変えたドラム、カズー、ハンドクラップ、トランペット、ピアノを重ねました。アルバムにも参加してくれた谷口君がこちらでも参加し、最高なピアノを弾いてくれました。実は結構お気に入りのインストなので、気になる方は7インチ「そらまめのうた」をぜひ!

bottom of page